アキレス腱の痛みの対処

最近、バスケ選手のアキレス腱断裂やアキレス腱を痛めたニュースをよく見ます。

アキレス腱は断裂すると、完全復帰には約半年〜1年かかります。

同じバスケを愛する者としては、非常に悲しい怪我です。

社会人で週1~2回しかバスケをしてないバスケ仲間でも、アキレス腱に痛みを抱えている人は多いです。

 

少しでもアキレス腱の痛みで悩む人たちを助けたい。

 

ということで、

今回は ” アキレス腱断裂を防ぐ&アキレス腱炎を防ぐ ” ために必要なトレーニングについて、理学療法士としての視点を交えて解説していきたいと思います!

 

アキレス腱はどの場面で負担がかかるのか?

アキレス腱に負担がかかる場面は主にフロアを蹴り出す瞬間です。

いわゆるネガティブステップ(トリガーステップ)と言われる動作です。

 

ネガティブステップ(トリガーステップ)で、フロアをフォアフット(前足部)で押す時に足関節が背屈し、アキレス腱が伸張されます。

さらにアキレス腱は伸張されながら、接続している下腿三頭筋の収縮により張力(アキレス腱内部の引き合う力)が最大となります。

 

 

この張力負荷にアキレス腱が耐えられなかった時、アキレス腱が断裂します。

もしくはアキレス腱に繰り返される張力負荷の連続で、アキレス腱周囲や踵骨の付着部に炎症が発生し痛みが生じます。

これが ” アキレス腱炎 “、” アキレス腱周囲炎 ” と呼ばれる状態です。

 

伸張反射を利用するのは良いのか?

腱という組織は、速いスピードで引き伸ばされるとそれに繋がる筋肉の働きにより反射的に縮むようになっています。

これが伸長反射です。

伸長反射は意識的に筋肉を働かせるよりも速く筋肉を働かせることができ、さらに強いパワーを発揮できるため、スポーツ動作において有用とされてきました。

しかし同時に筋・腱に大きな負担をかけます。

繰り返し伸張反射を利用した動作を行えば、傷害のリスクが高くなります。

高いパフォーマンスを発揮できたとしても、安全な動作で行えていなければ、いずれ傷害が発生します。

それは必ずしも良いパフォーマンスとは言えません。

ですので、私は意図的に伸張反射を利用した動作練習は必要ないと考えています。(仮に伸張反射が生じていても意識すべきでない)

アキレス腱に関して言えば、フロアを蹴りだす時に足関節の背屈を大きくせず(アキレス腱が伸張されないように)、伸張反射の利用を最小限にする必要があります。

 

アキレス腱に負担をかけずにフロアを蹴る方法

ネガティブステップでフロアを蹴ることで、爆発的なパワーを生み出すのですが、

「フロアを蹴る」というのは正しい表現ではありません。

正確には「フロアを押す」が適切な表現だと思います。

このフロアを押すのに主な働きを担う筋肉が2つあります。

1つ目は下腿三頭筋(ふくらはぎの筋肉)です。

 

 

フロアを押すときに足関節が背屈するのを、下腿三頭筋の底屈作用でフロアを強く押すことができます。

その下腿三頭筋に接続しているのがアキレス腱ですので、下腿三頭筋を過剰に使用するとアキレス腱に負担がかかります。

よって、次に登場する筋肉の作用がアキレス腱の負担を軽減させるのに重要です。

その筋肉は、前脛骨筋(すねの前側の筋肉)です。

 

 

前脛骨筋の作用は、足関節の背屈といって矢印の方向に足首を曲げる作用を持つ筋肉です。

ですが、フロアを押す場面では前足部がフロアに接地している状態のため、足部を引き寄せる働きではなく

下腿(すね)を前傾させる作用として働きます。

 

下腿が前傾することで、前足部がより地面に押しつけられる状態となり、より強く床からの反力を受けることができます。

なので、下腿三頭筋・アキレス腱を鍛えると共に、この前脛骨筋も鍛えることが重要です。

この前脛骨筋を働かせることにより、アキレス腱への負担軽減を図ります。

では実際のトレーニング方法を2つ紹介しますので、ぜひ実践してみてください!

 

アキレス腱を守るトレーニング①

これは下腿三頭筋(特に腓腹筋)、アキレス腱のトレーニングです。

 

 

冒頭に説明した通りフロアを蹴り出す瞬間、足関節が急に背屈されることで伸張反射が生じアキレス腱への負担が増加します。

フロアを押す場面で、足関節は背屈しますが大きく背屈するのはNGです。

背屈の動き(このトレーニングでは踵が下に落ちる動き)をしっかり下腿三頭筋の遠心性収縮というブレーキをかける作用でコントロールすることが大切です。

その結果、アキレス腱にかかる張力を軽減し損傷を防ぎます。

 

またこのエクササイズの良い点は、アキレス腱の滑走が促されるところです。

しっかり足関節を全可動域で繰り返し動かすことで、アキレス腱とアキレス腱を囲む周囲組織との滑りが良くなります。

アキレス腱の炎症を起こしている方は、アキレス腱の滑走が悪くなっておりそれが痛みの原因となっている場合もあります。

このトレーンにングはすでにアキレス腱に痛みがある方でも痛みなく行える場合が多いので、現在お悩みの方もトライしてみて下さい。

 

アキレス腱を守るトレーニング②

次のトレーニングは、実際にフロアを押す動作に近い形で行います。

これは下腿三頭筋と前脛骨筋の両方を鍛えることができます。

 

https://twitter.com/JIKU_BASUKE/status/1373628246642724868

 

これも先ほどと同じように足首の背屈の動き(踵が床に近く動き)をゆっくりとコントロールしながら行います。

先ほどと異なる点は下腿が床に対して垂直ではなく、前方に倒れている点です。

下腿が前方に倒れることで、すねの前の筋肉の前脛骨筋が働きフロアを押す力を強くしてくれます。

なのでこのプッシュフロアエクササイズではヒールドロップエクササイズでは強化できない、前脛骨筋のトレーニングが可能です。

この動作で前脛骨筋を鍛えるというのは一般的ではありませんが、下腿三頭筋だけに頼らずにフロアを強く押すためには、前脛骨筋の作用は不可欠であると私は考えています。

 

まとめ

アキレス腱の負担を減らすためには、アキレス腱に負担のかかる動作の改善をしなければなりません。

アキレス腱に負担がかかる動作を続けたまま、マッサージやストレッチなどのケアをしても、負担が減らなければ治りません。

もちろんマッサージやストレッチも大切ですが、根本的な問題はやはりアキレス腱にかかる過剰なストレスです。

そこにフォーカスしたトレーニングを重ねることが予防と治療に大切なことだと思います。

現在すでにアキレス腱が痛い方、もしくは30歳を超えてバスケをプレーしている方は予防として是非実践してみて下さい。

(※30歳を超えるとアキレス腱の変性が進行し、柔軟性が低下するため断裂のリスクが上昇します。)

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